Hatch Technology NAGOYA

課題提示型事業
課題詳細

深夜早朝の物流を可視化して、工事中もスムーズな市場を実現したい!

締切日

要点

解決したい課題
大型工事に伴い駐車場の一部が縮小される北部市場において、特に混雑が著しい深夜・早朝帯の駐車場の利用実態(車両の大小、荷役内容、作業時間等)を可視化し、効率的な利用方法を確立することを目指します。
想定する実証実験
深夜から早朝を含めた24時間で、約450台収容可能な駐車場内の車両の動き(目的、作業時間)を、先進技術を活用してデータとして取得・分析し、利用実態を可視化する実証実験を想定しています。
実現したい未来
市場駐車場のデータに基づいた効率的な運用により、工事期間中の混乱を回避し、限られたスペースを有効活用することで、市場全体の円滑な物流と利用者の利便性向上を実現したいと考えています。
得られるもの
・光量が少なく遮蔽物が多い難しい環境下での画像処理の技術実証の機会 ・市場関係者との連携によるフィードバックの獲得 ・複数のステークホルダーが入り乱れる環境で、データに基づいた市場物流への貢献と実績づくり

ストーリー

市場の活気、その裏側にある見えない課題

北部市場は、江戸時代にまで由来を遡ることができる市民の食を支える重要な拠点です。1年間に青果物で約25万t、水産物で約1.4万tの荷物が取引されています。それらの荷物は深夜から早朝にかけて、全国から集まり、早朝のうちに出荷されていきます。
 駐車場では買い出しの車両であふれ、昼間とは異なる独特の活気に包まれます。「大小さまざまな車両が行き交い、荷が運び込まれ、そしてまた各地へと届けられていく」このダイナミックな物流の動きこそが市場の生命線です。しかし、この活気ある光景の裏側には、利用者間の長年の慣習からくる「見えにくい」課題が存在しています。

写真① 市場を西側より俯瞰。左手に本件の対象となる北側駐車場が見える

 

工事が突きつける、駐車場の現実 

写真② 早朝の積み込み風景

 令和8年度から、北部市場では機能向上のため施設の増設工事が始まります。通常の営業を続けながらの工事となるため、工事期間中の約7年間は、工事車両の導線や資材置き場の確保などのため、駐車スペースの一部が使用できなくなります。工事により利用できる駐車エリアが狭まることから、より効率的な駐車場の利用策の検討が喫緊の課題として顕在化してきました。

 

深夜早朝の「カオス」を解き明かす 

写真③ 夜間のカオス状態の駐車場

 この課題を特に深刻にしているのが、職員が不在となる深夜から早朝の時間帯です。この時間帯に駐車場で「誰の車が」「何のために」「どれくらいの時間」利用されているのか、そしてその周辺で「どのような人の動き」があるのか、といった詳細なデータが不足しています。
 長年の利用者間の慣習による部分が多く、当事者以外の人から見ると「カオス状態」とも言えるこの見えない動きを正確に把握することが、工事期間中の混乱を回避し市場機能を維持するために不可欠となっています。

 

データに基づいた、より良い未来へ 

北側駐車場のレイアウト

私たちは、この実態が見えにくいという課題を解決し、データに基づいた市場運営を実現したいと考えています。今回のプロジェクトでは、特に把握が困難な深夜早朝の駐車場の利用実態を、先進技術を活用して詳細に調査・分析することを想定しています。車両の動きや作業時間、さらには周辺の人の動きを捉えることで、現在の「カオス状態」を「見える化」し、工事期間中も市場が円滑に機能するための具体的な根拠としたいのです。
 そしてこれらのデータは市場利用者とも共有していきたいため、単純な図表やグラフといった目で見てすぐ分かるものにしなければなりません。どういった成果物にすると見やすいのかについてもご提案いただければと存じます。

 

共に市場の未来を創造するパートナーを求む

  この挑戦は、私たちだけでは成し遂げられません。市場という特殊な環境下で、非接触かつ高精度にデータ収集・分析を実現する技術やアイデアを持つ企業の皆様の力が必要です。この実証実験を通じて、市場物流の効率化という地域課題の解決に貢献いただくとともに、そこで得られた知見や実績を、今後の事業展開に繋げていただきたいと考えています。
 ぜひ私たち中央卸売市場北部市場と共に、データで市場の未来を切り拓きましょう。皆様からの熱意あるご提案をお待ちしています。

募集要項

背景
北部市場では、機能の向上のため施設の増設工事が令和8年度から7年間かけて段階的に行われます。この工事に伴い、工事車両、資材置き場の確保等のため、現在駐車場として利用されているエリアの一部が使用できなくなります。
この駐車場は、産地からの荷下ろし、配送、他の市場への転送など、多様な目的で様々な車両が24時間出入りしており、工事期間中の動線確保や利用場所の調整が喫緊の課題となっています。
課題 (詳細)
駐車場での荷役はトラックの周りでフォークリフトが荷役作業を行うなど,通常の駐車場の利用と異なり、空いている場所を最大限利用する状態(タイムシェア)となっています。
特に職員が不在となる深夜から早朝にかけての時間帯は、その利用実態の把握が困難であり、「どういった用途の車か」「何時ごろ利用しているのか」といった詳細な情報が不足しています。
外部からの車両も多く、効率的な利用提案が困難な状況です。
求める解決策
着工前の現在の駐車場の利用実態を把握する手法を求めています。
特に、車両が「何のために来ているのか(荷下ろしか積み込みか)」、それに要する「作業時間」、そして車両周辺の「フォークリフトの動き」を捉えることで、深夜などの見えにくい時間帯の市場の活動を明らかにし、データに基づいた根拠をもって物流関係者の協力を得たいと考えています。
想定する
実証実験内容
荷役作業を伴う車両の動きを記録し、時系列に沿って可視化・分析することで、ほぼ満車状態といわれる駐車場の中にあるムダやムラのある利用法を見直し、より効率的な駐車場の利用方法や導線を検討。
実証実験
成功後の発展性
実証実験を通じて市場駐車場の利用実態が明確になれば、工事期間中の混乱を最小限に抑える具体的な対策を講じることが可能となります。
将来的には、閑散時間帯や未利用エリアの有効活用、さらには市場全体の物流効率化に向けた基礎情報としての活用も期待できます。
提案企業に求める
専門性
・カメラやセンサーを使った車や人の動作を検出する技術
・市場内での移動導線、滞留時間などのデータを分析する技術(単にビデオ撮影するのではなく、非専門家にも分かりやすい成果物(図表等)にする技術)
・分析結果から最適な配置や導線を見出す技術

プロジェクトの進め方
打合せ方法
・週に一度程度のオンラインミーティングを基本とし、必要に応じて現地での打ち合わせや視察を実施したい
・市場の業務に配慮しつつ、柔軟な形式で密にコミュニケーションを取りながらプロジェクトを進めたい
提供可能な
データ・環境等
・昨年度の入退場車両数の調査データや市場図面
・実証実験のフィールドとして、北部市場の駐車場エリアや関係箇所を見渡せる場所の提供(カメラ設置場所の候補として、スロープ橋近辺や2階からの視点などがありますが、電源の確保については要検討)
プログラム終了後の
本格導入
実証実験を通して提案技術や解決策の有効性が確認でき、市場の課題解決に繋がると判断された場合、数年間にわたる整備期間中での導入に向けて検討を進めます。